2017年秋季低温工学・超電導学会 セッション報告
Y系線材プロセス(1) 1A-a01-05 座長 井上 昌睦
1A-a01: 平田(フジクラ)らは、Hot-wall方式のPLD装置を用いた人工ピン導入REBCO線材の開発について報告した。BaHfO3(BHO)の添加量が異なるターゲット
を用いてREBCO膜を成膜し、それぞれのJc測定を行ったところ、添加量を増やすとab面方向の磁場に対するJcが低下し、c軸方向の磁場に対するJcが増加すること
が報告された。STEM像によるとBHOナノロッドが均一に分散し、且つc軸方向に直線状に成長していることが確認されているとのことである。なお、BHOの添加量
の具体的な数値について質問があったが、回答は得られなかった。
1A-a02: 後藤(名大)らは、PLD法で作製するSmBCO線材の高Jc化に取り組んでいる。今回は、アブレーションされた元素の組成とプルームの位置との相関を
調べ、組成ずれが起こる領域にマスクを施すことにより、Jcを向上させられることを報告した。ただし、線材の送り速度を上げ、レーザーの繰り返し周波数も
上げると、マスクの効果は小さくなるとのことである。これは、成膜レートが増加することに伴い、a軸配向粒の増加によるJcの低下が支配的になるためでは
ないか、とのことであった。
1A-a03: 町(産総研)らは、REBCO線材のレーザースクライビング加工の速度向上のためのデュアルビーム化について報告した。デュアルビーム化は、線材面
に対して長方形の形状を有するレーザーを照射し、試料表面に2つのスリットを設けたマスクを設置することで実現する。そこで、線材の幅方向のビームを均一
化させるためのホモジナイザーを採用したとのことである。実際に線材を加工したところ、2本の溝の深さのプロファイルはほぼ同一のものとなったことが報告
された。
1A-a04: 土井(京大)らは、低コストREBCO線材への適用を目標として配向Cuテープ上への導電性中間層の形成に取り組んでいる。導電性中間層としてSrTi0.85Nb0.15O3
(Nb-STO)を形成し、その上にYBCO膜を作製した後、通電法によりI-V特性を計測するとともに、有限要素法によるシミュレーション結果との対応からNb-STOの
抵抗率を見積もった。その結果、Nb-STOの抵抗率は1~5 Ωcmであり、通電電流がIcを越えたところで電流がNb-STO層を抜けて配向Cuテープへ分流していること
が確認できたと報告した。
1A-a05: 一瀬(電中研)らは、配向Cuテープ上に形成されたNb-STO層の組織観察ならびに元素分析について報告した。Nb-STO層は、100 nm程度の薄さだと、Niとの
界面にNiの酸化物(NiO)が生成し、導電性中間層としての機能が損なわれる。一方、Ni-STO厚を500 nm程度にするとNiOはほとんど生成しない。そこで今回、Nb-STO
層の最適化について検討したところ、比較的薄い310 nm厚においてNb-STO層でYBCO作製時の酸素拡散をブロックし、Niめっき層表面でのNiO層の生成を防止できる
ことを見出したと報告した。1A-a04で報告された線材は、当該線材と同一のものであるとのことである。
Y系線材臨界電流 1A-a06-10 座長 舩木 修平
1A-a06 東川(九大):極薄膜を積層したUTCO-MOD(Ultra-Thin-Once-Coating MOD)法によって作製したRE-123線材の特性を磁気顕微法により評価し、
低電界領域の特性や、局所臨界電流密度の空間均一性が向上したことを報告した。その要因は、有効断面積の増加であるとのことだった。
1A-a07 堀出(九工大):ナノロッドを導入したPLD-YBCOにO2アニールを施すと、124相の積層欠陥が増加しB // abのJcが増加するだけでなく、B // cのJcも
増加するとのことだった。
1A-a08 土屋(名大):人工ピン導入が磁化の減衰率へ与える影響に着目し、BHOナノロッド添加量の異なるSmBCO薄膜の磁化緩和特性を測定し、マッチング
磁場付近で緩和率が減少しJcが向上することを明らかにした。しかし、中温低磁場領域ではこれはダブルキンクピンニングにより緩和率が増加するとのこと
だった。
1A-a09 鈴木(九大):局所的なJcの変化とE-J特性の関係について安定化層の有無による影響を評価し、電流分流がない場合でもn値が低下したことから、
E-J特性におけるパワー指数が電界により変化することが示唆された。さらに、磁束フロー領域における上に凸のE-J特性によって、超伝導の本質的な特性
としてn値が低下するとのことだった。
1A-a10 土屋(KEK):4.2 K、平行磁場下における市販REBCO線材の臨界電流特性が報告された。現状の線材のJc特性では、加速器用の高磁場マグネットに
REBCO線材を用いることは困難であるとのことだった。
HTSコイル保護 1A-p01-06 座長 植田 浩史
HTSコイルの保護に関しては、関心が高いためか、会場は立ち見が出るほど聴講者が多く、質疑も活発なものとなった。
1A-p01 柳澤(理研):本発表は、高磁場HTSコイルの抑制法について、これまでの熱暴走の事例に基づいて、体系化を目指したものである。高磁場HTSコイル
では、熱暴走が起きる定常発熱は1 Wレベルであるとのことで、質問者からも妥当な数値というコメントがあった。しかし、「熱暴走」という表現について、
LTSと比較して、いわゆる「安定化」ができていないため、表現に違和感があると指摘もあった。
1A-p02 末富(理研):本発表は、4.2 K、高磁場の絶縁HTSコイルの定常発熱クライテリアを体系化し、数値解析によって許容発熱指標を求めた成果についての
報告したものである。
1A-p03 末富(理研):無絶縁レイヤー巻HTSコイルの励磁遅れと保護法について報告したものである。レイヤー巻の層間に絶縁を施し、磁場遅れを改善し、
一方で層内の巻線は無絶縁にしておくことで自己保護性を確保する巻線法を提案した。77 Kにおいて実験によって、励磁遅れの改善と自己保護性を確認した。
しかし、層内の巻線は無絶縁であるものの、テープ線のエッジ部で接触しているだけなので、確実に転流が起きるか保証できない点が課題としてある。
1A-p04 宮﨑(東芝):伝導冷却HTSコイルの保護について開発方針をこれまでの事例を踏まえつつ、報告したものである。保護法の詳細は、1A-p05、1A-p06で
報告された。
1A-p05 岩井(東芝):フラックスフロー抵抗を利用した伝導冷却HTSコイル保護の提案である。低温部のコイル両端に微小抵抗体を並列接続し、熱暴走による
フロー抵抗が発生すると、微小抵抗体に分流して、コイルを保護するというものである。5.4 kJの4積層REBCOコイルについて実験によって、熱暴走の回避を確認
した。ただし、実験においては、冷凍機を停止させて温度上昇させて、フロー抵抗を発生させている。実際は、局所的な発熱が発生し、フロー抵抗が発生する
ため、分流する前に熱暴走が起きる可能性について質疑があった。
1A-p06 宮﨑(東芝):導電性樹脂を利用した伝導冷却HTSコイル保護の提案である。コイルを導電性樹脂で含浸し、コイルに異常が発生した場合、ターン間に
電流を迂回させる方法である。液体窒素中であるが、コイル通電試験を行い、負荷率100%を超える電流を流しても、安定通電できることを確認した。
HTSマグネット 1A-p07-09 座長 宮崎 寛史
「1A-p07:三浦(三菱電機)」MRI用1/2サイズアクティブシールド型5 T高温超電導コイルの最適配置の検討結果について報告した。3 T全身用MRI磁石の
最大磁場7 T、電流密度200 A/mm2と同様の磁場になるようにコイル配置を決めており、さらにコイルが経験する垂直磁場成分を低減するために、経験
磁場が大きい個所のパンケーキコイルのターン数を減らす工夫をした。
「1A-p08:中村(京大)」遺伝的アルゴリズムを用いた3 T-MRIコイルの最適設計コード開発の進捗について報告した。目的関数に冷凍機の消費電力も
含めることでシステム効率全体の最適化を目指している。パラメータが多いため、一部のパラメータは離散的に固定する方法も検討したほうが良いの
ではないか等の質疑があった。
「1A-p09:藤田(フジクラ)」HTS六極マグネット用のREBCOコイルの試作結果について報告した。矩形レーストラック型のダブルパンケーキコイルを6枚
作製し、全てのコイルで良好な超電導特性が得られた。しかしながら、寸法誤差が1 mm程度生じた個所もあり、寸法精度の改善が必要とのことであった。
遮蔽電流磁場 1B-a01-06 座長 中村 武恒
北海道大学の野口らは、等価回路を利用したREBCOパンケーキコイルの遮蔽電流磁場の簡易計算法に関する検討結果を報告した(1B-a01)。遮蔽
電流の影響をインダクタンスで表現し、また線材テープ面を鎖交する平均磁場から遮蔽電流磁場を短時間かつ簡易に計算するコードを開発した。
岡山大学の植田らは、マルチフィラメント高温超電導線材で巻線されたコイルの特性解析法を検討した(1B-a02)。Bi2223線材のような多芯線材を
対象として、フィラメント間のブッリジングの影響を考慮したコイル内巻線の電流分布や遮蔽電流磁場を電磁界解析に基づいて評価した。
京都大学の溝端らは、コイル形状がマルチフィラメント薄膜高温超伝導線コイルの遮蔽電流磁場に与える影響を検討した(1B-a03)。ソレノイドコイルと
シングルパンケーキコイルを対象として、銅メッキしたマルチフィラメント薄膜高温超伝導線材の遮蔽電流について、電磁場解析に基づいて明らかにした。
早稲田大学の伊東らは、9.4T級ヒト全身用MRIコイルを対象として、REBCOコイルにおける細線化処理による遮蔽電流不整磁場低減効果の解析を
行った(1B-a04)。解析対象としたコイルについて、例えば161 ppmの磁場不均一度が、細線化処理によって13.2 ppmにまで抑えられることが示された。さらに、
細線化すべきコイルを適切に選択することの重要性が指摘された。
東北大学の宮崎らは、MRI用マグネットを対象として、REBCOコイルの遮蔽電流磁場の変動抑制に有効な残留磁化について報告した(1B-a05)。GdBCOテープ材
を用いて試作した小型コイル(50ターン)を対象として、コイル発生磁場の変動抑制に有効なオーバーシュート法の最適化を実験的に検討した。その結果、
繰り返しオーバーシュート波形を適用する前にコイルを励磁することによって、オーバーシュート量を低減できることが分かった。
産総研の馬渡らは、高温超伝導コイルにおける遮蔽電流磁場の簡易的評価法を実現するために、ソレノイドコイルにおける遮蔽電流磁場を解析的に評価する
とともに、コイルサイズと当該磁場との間に近似的に成立するスケール側について理論的に検討した(1B-a06)。遮蔽電流磁場の理論式が示され、数値計算
結果と同程度の評価が可能であることが報告された。
京都大学の曽我部らは、高温超伝導線材で巻いた回転ガントリー用コサインシータマグネットを対象として、発生する遮蔽電流磁界を電磁界解析によって
評価し、その抑制方法を検討した(1B-a07)。三次元モデルについて、例えば遮蔽電流磁場の多極成分の時間変化などの精密な解析結果が報告された。
磁場応用 1B-a07-08 座長 野村 新一
磁場応用のセッションでは2件の報告があった。
1B-a08は磁気分離を用いた除染技術に関する報告であり、福島第一原子力発電所の事故による汚染土壌の減容化・再生利用に関する研究報告である。
発表では、磁気分離の前処理として磁気分離を妨げる混濁液中の微粒子を分離することを目的に、粒子径30 μmを境に円錐型と円筒型淘汰管での分離
実験結果について報告された。
1B-a09は誘導加熱によるアルミ溶解実証装置の開発に関する報告である。この装置はアルミ鋳造工程をジャストインタイム方式に変更することを目的に、
高温超電導コイルによる静止磁場中にアルミニウムインゴットを回転させることで溶解させる装置である。発表では、アルミが溶解される様子を示した
開発状況の紹介とともにアルミの加熱特性に関する解析結果が報告された。
Y系線材特性 1B-p01-05 座長 福井 聡
Y系線材プロセス(2) 1B-p06-10 座長 土井 俊哉
2B-p06:下山(青学大)らは、Y123、Y247、Y124などのRE系超伝導体に与えるCaドープ、合成条件の違いの影響を詳細に調べた。CaがBaサイトを置換する
ことを考慮してY123試料組成を適切に選ぶことでCaドープ量を増やせること、またCaドープと適切な焼結条件、酸素量コントロールを行う事でJcが向上する
事を示し、非2軸配向RE超伝導体の可能性について言及した。
2B-p07:吉田(名大)らは、Vapor-Liquid-Solid(VLS)成長法を用いて作製したSm123線材の成長速度と超伝導特性について報告した。IBAD基材テープ上に
PLD法を用いてRE123の種結晶層を形成後、成膜温度で液相となるBa3Cu7O10とRE123を相互に積層することで積層欠陥の少ない高品質なRE123膜を高速で成膜
できることを示した。
2B-p08:池田(青学大)らは、CeO2/YSZ/Y2O3バッファ層を形成した金属Clad基板上に、フッ素フリーMOD法でClあるいはBr添加Y123薄膜を作製した結果に
ついて報告した。Ba2Cu3O4(Cl or Br)2の微細な結晶がY123の2軸結晶配向を助け、繰り返し塗布・焼成により、厚膜化が可能であること、1分という短時間
焼成で高Jc薄膜が作製可能であることなどを示した。
2B-p09:舩木(島根大)らは、KOHをフラックスに用いた液相成長法により、LaAlO3単結晶上にLaNiO3、Nd2NiO4、NdFeO3を500℃程度の低温でエピタキシャル
成長させることに成功し、更にLaAlO3単結晶上にNdFeO3を形成した後Gd124をエピタキシャル成長させることにも成功した。
2B-p10:戸倉(九工大)らは、PLD法を用いてLaAlO3単結晶上にSrTiO3ナノロッドを含んだFeSe薄膜の作製に成功したことを報告した。
SuperKEKB 1C-a01-06 座長 梶谷 秀樹
本セッションでは、SuperKEKBに関し6件の発表があった。
1C-a01:大内(KEK)らは、SuperKEKB加速器において、電子・陽電子ビームを衝突点で収束させる超伝導電磁石システム(QCS)のビームラインでの試験
結果の概要について説明した。
1C-a02,a03:有本(KEK)らは、QCSにおける4極電磁石の磁場測定結果を報告し、測定結果から4極電磁石のアライメントは問題ないことを示した。
1C-a04:王(KEK)らは、ビームライン軸上のソレノイド磁場測定結果及び解析結果を報告した。測定結果と解析結果は概ね良く一致し、今後は、本結果
を基に補正用コイルの電流調整を行う。
1C-a05:川井氏(KEK)らは、QCSの冷却試験結果を報告した。当初は20 Kまでしか冷却できなかったが、冷凍系を調整したことで、所定の液体ヘリウム
温度まで冷却できたとのことであった。今後は実機運転に向けて、さらなる改良を行う。
1C-a06:宗(KEK)らは、QCS-L/Rクライオスタットの熱負荷評価を報告し、QCS-LとRにおける熱負荷の違いを示した。
構造材料 1C-a07-10 座長 熊谷 進
構造材料のセッションは、3件の航空・宇宙応用の構造材料に関する発表および1件の測定技術の提案に関する発表があった。
「1C-a07:由利(NIMS)」は、β焼鈍を施したTi-6Al-4Vの圧延材について20 Kガスヘリウム中の疲労特性を取得し、圧延材では焼鈍なしでも鍛造材と
比較し高サイクル疲労特性は改善されることからβ焼鈍の効果は顕著でないことを示した。引き続き、「1C-a08:小野(NIMS)」では、Inconel 718
鋳造材の高サイクル疲労破壊で現れるγ粒内割れについて起点部の結晶方位解析で高サイクル特有のき裂発生機構について迫っていた。
「1C-a09:神田(中部大)」は、宇宙・航空機用超伝導システムの構造材料への適用を視野にMg-Liに関する基礎データとして、低温における線膨張
係数測定とXRDによる低温結晶構造解析を行って、線膨張係数の段階的な変化に関して結晶学的考察を加えていた。
「1C-a10:太田(九大)」は、溶接あるいは曲げ加工を施したSUS304、304L、316、316Lを対象に、相変態の様子を磁気力顕微鏡を用いて観察し、磁気
力顕微鏡による非破壊評価技術の可能性について提案していた。
ITER 1C-p01-05 座長 王 旭東
1C-p01 小泉(量研機構):ITER用CS導体とTF導体およびその補強構造物の製作進捗について報告された。CS導体はすでに製作が完了し、TF導体は
超電導コイル9本全数の巻線と熱処理はすでに完了し、現在は絶縁と含浸処理を進めている。また、TF導体の構造物も順調に製作を行っている。
1C-p02 櫻井(量研機構):ITER用TFコイル構造物の製作進捗について報告された。TF構造物の冷却配管について、曲線部は構造物内面の矩形溝に
円管を取り付けて隙間はエポキシ樹脂で埋める。直線部は矩形銅管内にステンレス配管を挿入して熱間等方加圧法で接合したHIP管とAP構造物を
ニッケルプレート媒介にレーザー溶接した。エポキシ樹脂の耐放射線性と熱伝導性についての質疑があり、対放射線性は問題なく、熱伝導をよく
するために金属粉末を混入して工夫しているということであった。
1C-p03 梶谷(量研機構):ITER用TFコイルのジョイント部の半田接合を常温で検査する手法の開発について報告された。解析から接合部の欠陥
範囲と抵抗・電圧発生の関係を評価し、常温測定から半田接合の健全を確認した。
1C-p04 諏訪(量研機構):ITER用TFインサートコイルの電磁力と昇温最冷却による繰り返しの影響で分流開始温度の劣化について報告された。
SULTANが直線形状サンプルであるのに対して、ソレノイド形状のサンプルで試験し、SULTANの分流開始温度劣化よりも小さいことが報告された。
1C-p05 武藤(早大):TFインサートコイル試験とSULTAN 試験の結果に関する解析評価について報告された。両試験ではフープ応力が異なると想定
されている。解析結果から単純にフープ応力の差異だけで説明できないということであった。
A15線材(1) 1C-p06-10 座長 熊倉 浩明
「1C-p06:菊地(物材機構)」は、急加熱・急冷法によるNb3Al線材において、通電加熱による急速加熱と急冷をこれまでの真空中ではなくて大気
暴露下で行った。これにより比較的滑らかな線材表面が得られるなど、特に問題なく急加熱・急冷ができることが判明し、急加熱・急冷のための
大型真空装置が不要となる可能性を示した。加熱時間が短いために、大気中加熱でも酸化などの影響が少ないためと推察される。
「1C-p07:谷口(大阪合金)」は、同社が開発したNb3Al線材用の高スズ濃度ブロンズ合金において、高Jc化に効果のあるTi添加の高温機械特性
への影響について調べた。その結果、Ti添加によって600℃以上の高温で 著しい伸び(延性)の改善が得られることが判明した。
「1C-p08:菱沼(核融合研)」は、ブロンズ法Nb3Sn線材の高強度化に向けてブロンズへのIn添加を試みた。InはCuとの原子サイズの違いによる大きな
歪場から、大きな固溶体強化が期待でき、またInはブロンズマトリックスに均一に残留してNb3Snの生成に悪影響を及ぼさないので高強度・高Jc線材
が期待できるとしている。
「1C-p09:川原田(神戸製鋼)」は、分散Sn法Nb3Sn線材において、Sn拡散距離の短縮による高Jc化を試みた。Sn拡散距離が60 μmの線材をさらに伸線
加工して拡散距離を56-48 μmに短縮することにより、未反応Nb芯が消滅して均一な粒径のNb3Snが形成され、これによって約19%のJcの向上を得ている。
「1C-p10:伴野(物材機構)」は、内部Sn拡散法Nb3Sn線材において、CuマトリックスへのMg添加によりNb3Sn超伝導層の結晶粒が微細化すること
を示した。また、Zn添加はNb3Snの成長速度を促進させるが結晶粒の粗大化が起こるのに対し、微量のGeの同時添加によってこの結晶粒の粗大化が抑制
されると報告した。
大型冷凍機 1D-a01-06 座長 木村 誠宏
当セッションでは6件の報告があった。
1D-a01 (三戸らNIFS、大陽日酸)は事故復旧作業を経たLHD低温システムの性能確認試験と2017年の運転成果についての報告がされた。試験は、定期
メンテナンス中に発生した火災事故による影響を確認するために行われ、結果として僅かに性能劣化が認められるものの事故による影響ではなく経年
劣化によるものと判定したとの事であった。LHD低温システムは据付後25年を経過しており、復旧作業にあたって当時の製造記録等の掘り起こしに苦労
したとのコメントがあった。
1D-a02(濱口らNIFS)はLHDヘリカル用サブクールシステムの運転実績について報告がなされた。講演ではサブクールシステムに組み込まれた低温圧縮
機の運転時間が30,000時間を超え、さらに液体ヘリウムのサブクール運転も20,000時間を超えたと報告された。
1D-a03~a06(麻生、勅使河原ら、原子力機構)はJ-PARC大強度中性子源に設置されている液体水素循環システム用ヘリウム冷凍機の性能劣化とその対策
について4件連続で報告された。ヘリウム冷凍機の性能劣化の主たる原因は、コールドボックス第2熱交出口に装着されたAdsorber (ADS)のフェルト材に
圧縮機からのオイルが蓄積したことが推定され、確認のための実証試験が行われた。この結果、フェルト材への油の蓄積が低温になるにつれて固化し、
系の圧力損失を増加させるような閉塞状態を生じると考察した。しかしながら、この状況が冷凍機の熱交換器の差圧増加にまで影響を及ぼすのかまでは
結論に至っていないと報告され。今後、ヘリウム冷凍機熱交換器に差圧を計測するラインを追加し、差圧変化の状態を測定する計画であるとのことで
あった。本報告の続報を期待したい。
6件の報告を通じて、大型冷凍機は長期運転を行う傾向があることから、製造会社並びに設置者ともメンテ等のノウハウの伝承と情報の共有化が必要で
あると感じた。
小型冷凍機 1D-a07-10 座長 岡村 哲至
「1D-a07:白石(大阪大)」 ErxHo1-xN(x=0,0.5,0.625,0.75,0.875,1)の比熱と、それを充填した場合のGM冷凍機の冷凍能力との関係について考察を行っていた。
4.2 Kから7 Kまでの比熱の積分値と冷凍能力に良い相関があることが示された。
「1D-a08:湯本(住重)」 宇宙用小型冷凍機のリニア圧縮機についての発表である。現行機種の1 W級@77 K用の60 W入力圧縮機から、サイズは同程度で、
冷凍能力を数W級@77 Kに向上させた冷凍機用の120 W入力可能な圧縮機の設計計算を行った結果が示された。
「1D-a09:表(金沢大)」 水素液化磁気冷凍機に用いる磁性体として、GdTiO3単結晶に注目し、その磁気エントロピー変化、比熱、断熱温度変化などの物性に
ついて、温度あるいは磁場依存性について測定した結果が示された。
「1D-a10:宮崎(鉄道総研)」 磁気ヒートポンプを鉄道車両の空調へ適応した場合の概念設計結果が示された。2次相転移材料を用いた場合は蒸気圧縮式冷房
装置よりも重量増加となるが、1次相転移材料を採用すれば軽量化が期待できることが示された。
熱伝達 1D-p01-03 座長 中納 暁洋
1D-p01 松本太斗(京大)ら:超電導機器の設計において重要となる液体水素の強制対流下における熱伝達係数を求める実験を秋田県能代市にある
JAXAの液体水素実験施設で実施した実験結果の報告であった。内径6.5 mm、外径6.5 mm、長さ200 mmのSUS管を発熱体とし、管内に液温21 Kの液体水素を、
いく通りかの流速で流すと共に、圧力条件400 kPa、700 kPa、1100 kPaのもと、それぞれについて熱伝達係数を求めていた。加熱は発熱率が指数関数状と
なる加熱を10秒間行い発熱体の温度が220 K付近まで達すると、10秒間で指数関数状に発熱率を減少させるという方式を採っていた。発熱体温度と液温
の差である加熱度150 Kにおける熱伝達係数と流速の関係から圧力条件700 kPaと1100 kPaの実験結果に有意な差異は認められなかったが、400 kPaのケース
のみ熱伝達係数が小さくなる実験結果が示されていた。これは400 kPaでは膜沸騰の蒸気厚さが他に比べ厚いことが原因との報告であった。今後、条件を
変え実験を行い詳細な考察を進めるということで更なる進展が期待できる。
1D-p02 臼井智之(神戸大)ら:液体水素運搬船の液体水素タンク内が急減圧した時の液体の挙動を調査する目的で、その予備試験として液体窒素を
用いた実験を実施していた。実験条件として液体の状態が飽和状態と成層状態、実験圧力は0.2 MPaと0.4 MPa、バルブ開度がCv値0.02、0.10、0.16の
3通りで実験を実施していた。沸騰開始時点は内部圧力変化から決定しており、減圧による圧力低下から沸騰による圧力上昇に転じた時点とし、減圧
開始から沸騰開始時点を沸騰開始時間と定義していた。沸騰開始時間は液体状態、設定圧力、ガスの流出速度に依存する実験結果が示されていた。
予備試験結果ということで定性的な議論に止まる結果の提示であった。液体水素を用いた本実験では、より詳細な解析を期待する。なお、会場から
相図を使って実験槽内の状態変化を提示しながら現象の説明を行えば理解しやすいとのアドバイスがあった。
1D-p03 村上正秀(筑波大)ら:超流動ヘリウム(He II)のノイジー膜沸騰に関する実験結果に関する研究報告で、膜沸騰状態でのヒーター・気泡周り
のHe II流動のPIV解析を行っていた。沸騰は10×39 mmのSUS製水平平板ヒーターを用いて熱流束44 kW/m2で加熱を行い、音響ノイズを伴う1〜2 cmの
気泡を乱立させPIV計測を行っていた。トレーサー粒子や気泡の動きを追跡し、画像解析により速度を求めていた。ヒーター直上の粒子速度は熱対向流
の理論値に漸近し、浮力による上方への気泡成長に誘起された背景プルームが形成されるが、約45度程度斜め上方向では速度が弱い負値を示し、上昇
プルームへのエントレイメントの流れ場が観測されていた。速度変動のRMS値はいずれの位置においてもヒーター中心からの距離の-2乗に比例する結果
が得られており、流速変動が球対象的に伝播して行くことを見出していた。He II中のノイジー膜沸騰でのヒーター・気泡周りの流れは熱対向流、気泡上昇に
誘起される上昇プルームとそれへのエントレインメント、及び気泡の成長に誘起される交番速度の第一音波的伝搬で構成されることを明らかにしていた。
極低温流体計測 1Dp04-07 座長 槙田 康博
4件の計測関連の報告は、いずれも液体水素を対象にしている。
1D-p04:宋(神戸大)等は、窒化クロム薄膜測温抵抗体の温度校正結果を報告した。液体水素温度付近で十分な感度を有していることは確認されたが、
薄膜上の電極へのリード線接続状況で、温度特性が大きく変化する結果も示され、施工の標準化の必要性を感じた。
1D-p05:前川(神戸大)及び1D-p06:鈴木(神戸大)等は、液体水素用MgB2液面センサーを組み込んだタンクで、船上にて船体揺動によるスロッシングの
状況を測定した。MgB2液面計の応答は良く、船体揺動の状況と整合性は有している。さらに、5本の液面計データーをParaViewコードで3次元的表示を
試みていた。5本の液面計データーの棒グラフを立体的に配置するだけでなく、これまで加振試験結果を加味した解析に期待したい。輸送に使われる
貯槽と試験クライオスタットの構造の違いについて指摘があった。
1D-p07:塩津(京大)等は、より応答性高く液体水素の圧力を測定するために、液体水素中に圧力センサーを投入することを試みた。低温(-196℃)で
動作保証をされている2種類、Kyowa製とKulite製のセンサーを液体水素中に設置し、大気圧から1.1 MPaまで校正した。数 mV程度のオフセットは生じたが、
感度は変化せず、冷却による損傷も無かった。
HTS線材評価 1P-p01-03 座長 東川 甲平
本セッションでは、鉄系線材と高温超伝導線材の製法・特性について3件の報告があった。
1P-p01:伊藤(東理大)らは、鉄系線材の材料として期待される122系材料の中でも(Ba,Na)Fe2As2を用いた線材の作製と特性について報告した。BaをNaに
置換した報告は新しく、ファーストトライでも実績のある(Ba,K)Fe2As2と同等の特性が得られ、同材料も有力な候補となることを示した。
1P-p02:松永(総研大)らは、給電ターミナルが高温超伝導線材の電流分布に与える影響について報告した。複数のホールセンサによる磁界測定から評価
した電流分布によれば、特に給電ターミナルの影響は見られないことが示されていた。
1P-p03:元木(青学大)らは、フッ素フリーMOD法における新しい中間層に関する報告を行った。基板上にその中間層のみを堆積し、その上に超伝導層をのせる
だけで良好な特性が得られており、また導電性酸化物を用いた中間層の作製にも成功しており、低コスト線材の実現に大きく資する技術という印象を受けた。
A15線材(1) 1P-p04 座長 菱沼 良光
1P-p04:菊池(NIMS)らのグル-プでは、急熱急冷法Nb3Al線材の安定的な前駆体及び線材供給を目的としたインハウス製造を開始した。これまでの供給元
から、熱間押出加工以外の肝となる設備を移設し、前駆体製造のノウハウを構築していく模様である。今後の動向が非常に楽しみである。
限流器 1P-p05-08 座長 和久田 毅
限流器のセッションでは発表が4件あり、いずれもREBCOを用いた抵抗型限流器を対象とし、実運転を想定した条件下で所定の限流特性および焼損防止を実現
する・最適設計を指向する研究であった。シミュレーションをベースとした検討が中心であるが、リアルタイムシミュレータを用いたハードウエア閉ループ
試験のように、実系統規模の事故を小さな試験体系で評価できることは超電導機器の信頼性を確立していく上で非常に有効であると思われる。
1P-p05:中村(九大)らは、超電導変圧器と超電導ケーブルの限流協調に関する検討について報告した。変圧器とケーブルの限流協調設計は、限流動作の際の
抵抗を変圧器とケーブルに適切に配分し、所定の限流特性を満足させつつ焼損防止など含め実運転可能な解を得るものである。線材の銅層の厚さや臨界電流値
をパラメータとしたシミュレーションを実施しケーブル長が数km必要となることを示した。
1P-p06、p07: 銭、白谷(東大)らは3次元の電磁場および熱伝導連成解析を行うことにより、REBCO線に局所的なJcの低下領域が存在する場合の限流動作の過渡
応答を解析した。計算のベクトル化、並列化プログラミングなどにより3次元の連成解析の高速化を行い計算時間を半分以下に低減した。今回の解析条件では
局所Jc劣化による温度上昇などが見られたものの焼損には至らなかった。
1P-p08:田島(九大)らはリアルタイムデジタルシミュレータを用いたハードウエア閉ループ試験によりREBCO線材の限流特性を評価した。実系統の中で(事故時の)
限流特性を評価することは困難であるが、試験体(REBCO線材)の応答をリアルタイムで実系統のシミュレータに取り込み、シミュレーション結果を試験体への
通電電流にフィードバックすることにより、実系統での事故を模擬した試験が可能となる。市販REBCO線材に局所欠陥を導入した試料を用いて、直流き電鉄道
系統のさまざまな運転条件下における故障に対して限流器動作の評価を行った。
送電ケーブル(1) 1P-p9-11 座長 増田 孝人
本セッションでは、超電導ケーブルを鉄道用のき電ケーブルに適用した場合を想定し、電流リード、端末、短絡電流解析が実施された。それぞれ、前提としている
き電ケーブルの仕様が同じであるので、発表は個別であるが、3件でまとまった報告になっていた。
電流リード「(1P-09、三浦(東大)ら」については、鉄道特有の負荷パターンで低損失となる最適構造を検討されており、実用性のある内容になっていた。
端末「1P-10、福本(鉄道総研)ら」については、実際に印加される電圧に対する解析及び設計検討を実施されている。
短絡電流 「1P-10方(東大)ら」については、変電所間を超電導ケーブルで接続することで効率は上がるが、事故電流も増大すると課題を指摘し、その影響
についての検討をされている。超電導き電ケーブルは既に実線路での導入事例もあり、このように実用時の使用条件での検討や、実用時の課題解決に注力
することで、早期の実用化がなされるものと期待される。
長距離冷却 1P-p12-15 座長 濱口 真司
KEKの大中ら(1P-p12)は、COMET実験用冷却システムの試運転結果について報告した。1989年製のヘリウム冷凍機の再利用にもかかわらず、仕様値以上の
冷凍能力が得られている。
東工大の三枝ら(1P-p13)は、HTSコイルを小型冷凍機で冷却する場合について、一次元解析で伝導冷却とヘリウム循環冷却の比較を行った。コイルと
冷温端との距離が遠い場合やコイル発熱量が大きい場合にヘリウム循環冷却が優位となる。
九州大の只熊ら(1P-p14)は、長尺HTSケーブル用高効率循環ポンプの開発に先立ち、冷却配管の圧力損失や温度分布の予備的評価を進めている。今回、
既存のHTSケーブルについて一次元解析を行ったところ、実際とよく合う結果が得られていた。
中部大のIVANOVら(1P-p15)は、石狩プロジェクトで使用されたペルチェ電流リードの侵入熱量を測定し、通電時は1/3に、非通電時は1/2に低減される
ことを明らかにした。
冷却コンポーネント 1P-p16-18 座長 仲井 浩孝
1P-p16:松本(神戸製鋼所)らは、超電導電磁石を冷凍機で冷却するために サーモサイフォン熱スイッチを開発している。凝縮側の温度が作動流体の
三重点に達すると作動流体が固化して熱伝達が停止してしまうため、ヒーターによる凝縮側の温度制御を導入して冷却時間の短縮に成功した。冷却効率
の向上のためにヒーターによる熱を導入するのは矛盾しているようであるが、従来から用いられている手法であり、致し方ないであろう。
1P-p17:安部(東工大)らは、NMR用高温超伝導コイルの励磁に用いるために、熱電素子を使用した電源を製作し、通電特性を測定した。ヒーターと冷凍
機で熱電素子に温度差を生じさせる。測定した電源の内部抵抗が予想よりも約2.15倍大きく、接触抵抗や銅電極の抵抗が原因と考えられる。接触抵抗の
低減などで電源としての性能向上が見込まれる。
1P-p18:高田(NIFS)らは、KAGRAで使用する黒色コーティングのうち、低磁性のものを開発している。コーティング材に磁性があるとミラーの制御に
影響を及ぼすため、放射率を犠牲にしてでも低磁性のコーティングを採用する必要がある。今回開発したものは放射率が低下したものの、低磁化を実現
している。また、加工時の切子などの発生も少ないなどの特徴を持っている。
NMR 2A-a01-04 座長 横山 彰一
2A-a01 高橋(理研)らは、これまで分析できなかった領域をNMRで分析できるようにするためHTSプローブを用い100倍以上高いQを得ることで
四極子NMRを測定できる手法を提案。一定磁場中でのNMR信号分析ではなく一定周波数中での磁場挿印での信号スペクトルで分析する。
2A-a02 加藤(東工大)らは、NMRの高感度化を目指しHTSプローブを開発。これまでの鞍型コイルを平面型の薄膜コイルにすることで試料の
容積を増大し、より感度向上できる工夫をした。低温銅コイルと比較し感度が数十倍向上したことを確認した。
2A-a03 柳澤(理研)らは、1.3 GHz(30.5 T)NMRマグネットの基本設計を紹介。LTSコイルとHTSコイルのハイブリッドコイルを永久電流モード
で運転するための諸検討を行った。全接続抵抗は10-9 Ω以下にするための超電導接続や、コイル内最大軸方向応力50 MPaの可否を検討した。
2A-a04 上野(上智大)らは、1.3 GHz(30.5 T)NMRマグネットのREBCO内層コイルの要素試験を紹介。160ターンのREBCOコイル、超電導接続、
永久電流スイッチを試作し、磁場の変化から接続抵抗や臨界電流の状況を評価した。電流値が定格より1桁以上低いもののコイル回路の挙動を
把握できた。
鉄系線材・バルク 2B-a01-04 座長 松本 要
本セッションにおいては4件の口頭発表があった。最初に戸叶氏(NIMS)ら「SUS/Ag-Sn合金二重被覆を用いたPIT-(Ba,K)Fe2As2テープの作製条件」
に関する報告があった。鉄系線材では(Ba,K)Fe2As2系のPIT法による線材化が進んでいるが、通常Agが被覆材に用いられる。本研究ではAgの代わりに
Ag-Sn合金を用いることで大幅な性能向上が得られることを見出した。徳田氏(農工大)はメカニカルアロイング法にてBa122多結晶バルク体の合成を
行い、混合エネルギーを用いて評価したところ,ある特定のエネルギーにおいてTcとJcが増大するとのことであった。玉江氏(九大)は中国科学院で
作製されたホットプレス型銀シース(Ba,K)Fe2As2線材に関して、走査型ホール素子顕微鏡により局所的Ic分布を調べた。その結果、テープ中央部分
のIcが極めて低下していることが明らかになった。続けて、井上氏(九大)は、同様の銀シース(Ba,K)Fe2As2線材に関してX線マイクロCTを用いて内部
構造に関して調べた。この評価によればシース材のAgがテープ中央部と端部に集中しており、ホットプレス法の加圧時に(Ba,K)Fe2As2が偏在することを
明らかにした。
超電導接続 2B-p01-05 座長 下山 淳一
物材機構の松本ら(2B-p01)は、IMD法MgB2線材間の超伝導接続を作製し、15 Kで10-13 Ωの低抵抗接続に成功したことを報告した。しかし、
接合部のIcがまだ低く、再現性も良くないとのことで、その一因として、接合部にクラックが生じやすいこと、MgOが生成しやすいことが挙げられた。
物材機構の高野ら(2B-p02)は、Bi2223線材とNbTi線材をPb-Sn-Biはんだを用いて超伝導接合した結果を報告した。Bi2223線材の銀シース、NbTi
線材の銅シースは、はんだ中のSnによって溶出し両線材とも超伝導の部分が剥き出しになり超伝導接合が形成される。4.2 K、5 kOeで接合Icは
約50 Aに達しており、今後、はんだ組成やはんだの量、接合面積の最適化によってさらにその向上が期待できる。
産総研の高島ら(2B-p03)は、Nb薄膜によるREBCO線材間の接合を目指しており、今回は予察的にSrTiO3単結晶基板上にNb薄膜をマグネトロン
スパッタリング法で作製した結果が紹介された。室温成膜でもTcが8 K級のNb薄膜ができることを示した。REBCO薄膜上にREBCOの超伝導特性を
損なうことなくNb層が形成できるかなど今後の課題は多い。
九大の寺西ら(2B-p04)は、GdBCO線材表面にPLD法でGd, Ba, Cuの酸化物微結晶を堆積させ、その微結晶面を向かい合わせて熱処理する方法で
超伝導接合を試みた結果を報告した。非常にクリーンな接合が形成されており、Tcも90 K以上であるが、Icは500℃で200時間
酸素アニールを行うと10 Kで5 A以上となることが示された。Icが高くならない原因としては、接合部の格子不整合だけでなく酸素拡散が極めて
遅い可能性が考えられる。
室蘭工大の金ら(2B-p05)は、Yb123バルクを用いた溶融凝固法によるREBCO線材間接続とBi2223線材のフィラメントを向き合わせて熱処理する
接合形成の試みを紹介した。REBCO線材間では77 Kで21 AのBi2223線材間では同温度で12 Aの接合Icとなったことが報告された。
教育・活動報告 2C-a01-04 座長 浅野 克彦
本セッションでは法規制見直し活動、低温工学現代史の編纂,低温工学夏合宿について4件の報告があった。
2C-a01:池内(前川)らは環境・安全委員会による高圧ガス保安法の見直し活動の報告を行い、活動経緯や成果を次世代に残す手法についての議論が
なされた。続いて2C-a02:池内(前川)らはASCOTにおける極低温冷却システムの実用化に向けた活動の報告を行い、法規制見直しにおける微燃性冷媒
掲名の調査結果の有効性などから今後の取り組み方針を示した。
2C-a03:野口(NIMS)らは低温工学現代史の年表編纂活動の中で特にヘリウム液面計をとりあげ、その開発の歴史やエピソード、研究テーマ事例の紹介
を行った。調査から読み取れる現在と将来への課題発掘が本質的に重要である点が強調された。
2C-a04:出村(住重)らは夏合宿受講者の立場から、ロータリーバルブ形式パルス管冷凍機の改良結果について報告した。座学と製作実習を通して冷凍
能力のメッシュ条件による差異や温度依存性を体得するだけでなく、基礎技術の重要性の再認識やネットワーク形成の成果が報告された。
低温工学技術の普及や人材育成に向けて、示唆に富んだ有意義なセッションであった。
核融合(2) 2C-p01-05 座長 尾花 哲浩
本セッションでは、JT-60SAに関して2件、核融合原型炉に関して2件、試験装置に関して1件の報告が行われた。
「2C-p01: 村上(量研機構)」 JT-60SAで使用する超伝導機器の製作状況について報告があった。中心ソレノイドは4つのモジュールのうち、3つの
モジュールが完成し、残りのモジュールの製作を進めている。コイルターミナルボックス(CTB)は、全5台のうち1台が完成しており、残り4台は
2018年中に完成を予定している。CTBと超伝導コイル間の接続にはNbTi導体を用いた超伝導フィーダーが用いられ、コイルの冷却・電磁力によって
生じる数10 mm程の変位に対応できるように設計されている。フィーダーの性能評価試験は行われない。
「2C-p02: 夏目(量研機構)」 JT-60SA冷媒分配システムについて報告があった。現在までに全11基のバルブボックスが完成している。2018年から
冷媒分配システムの各構成機器が設置される予定である。
「2C-p03: 宇藤(量研機構)」核融合原型炉用超伝導コイルの製作・設置で生じる誤差磁場解析に関する報告があった。解析の結果、TFコイルの設置
誤差による誤差磁場への影響が最も大きいことを明らかにした。
「2C-p04: 小野(物材機構)」核融合原型炉で使用する超伝導コイル用極低温構造材料について報告があった。これまでの極低温高強度構造材料の
開発を振り返り、ITER計画後の構造材料の研究開発があまり行われていないことが示された。また、水素ステーション等で使用されている耐水素用
材料HPX19の引張特性を評価した。
「2C-p05: 西村(NIFS)」東北大学金材研大洗センターに設置されている15.5 T無冷媒マグネットと温度可変インサートを用いたNb3Sn線材の通電試験
について報告があった。
LTSデバイス(1) 2D-a01-04 座長 大久保 雅隆
ナノクライトロンと呼ばれる3端子トランジスタデバイスに関する発表が1件、断熱量子磁束パラメトロン(AQFP)が1件、単一磁束量子回路(SFQ)が1件の
計4件の発表があった。
「NbTiN超薄膜の膜厚依存性の評価」名大—名城大の共同研究では、丸山晃平氏から、ナノクライトロンへの適用を目指して、NbTiN超薄膜の超電導特性が
報告された。膜厚が50 nmから5 nmに薄くなるに従ってTcが低下するというよく見られる結果であった。結晶構造等の関係を明らかにすることが望まれる。
「熱援用デバイスのための超伝導超薄膜細線の特性評価」(名大、名城大)では、佐野京佑氏から、同じNbTiN超薄膜の超伝導転移のより詳細な報告と
I-V特性から位相すべりの可能性などが報告された。2件とも超伝導薄膜の特性評価であるが、デバイスへの展開が期待される。
「AQFPのための超伝導共振器の検討」(横浜国大)では、ケイ育閣氏から、半波長超伝導共振器の損失について報告があったが、予想以上の損失について
の原因はまだ解明されていない。AQFP回路の省エネルギー化への応用が期待される。
「SFQ交流直流変換素子」(名大)では、谷口壮耶氏から、インライン型ジョセフソン接合を使って、整流特性を持たせることに成功した実験結果が報告
された。超伝導回路への直流電源供給方法として注目される。
LTSデバイス(2) 2D-p01-04 座長 日高 睦夫
2D-p01:横国大の佐藤等から単一磁束量子(SFQ)FFTプロセッサの改良報告があった。SFQ-FFTプロセッサでは既に一周分の動作実証がなされているが、
バタフライ演算の過程で増えたビット数の削減を行うRounding回路の動作マージン不足に起因して再帰的な演算は実証されていなかった。今回Rounding
回路で行っていた動作をData bufferで行う方式に改め、動作マージンが大きく改善できる見通しが得られた。
2D-p02:横国大の荒井等は極低消費電力回路として知られているAQFP回路の集積度を向上することを目的に、次段のAQFP回路との接続に用いているトランス
をrf-SQUIDに置き換えることを検討している。Rf-SQUIDのパラメータを制御することによって、入力に対して負の結合が作り出せることを示し、トランスが
rf-SQUIDにより置き換え可能であることを報告した。
2D-p03:産総研の牧瀬等は2次元伝導と見なせるほど薄膜化した超伝導細線に生じる量子位相すべりを観測するために、NbN、NbTiN、TiNを反応性マグネ
トロンスパッタ法で2-5 nm成膜し、電子ビームリソグラフィーでパターニングした試料を作製した。この試料の単位長さ当たりの抵抗の温度依存性を観測
することにより、量子位相すべり理論曲線と一致する振る舞いを観測することができた。
2D-p04:産総研の大久保等はアレイ化した超伝導トンネル検出器(STJ)を用いた蛍光収量X線吸収微細構造分析装置と蛍光X線検出器付走査型電子顕微鏡の
報告を行った。いずれも半導体検出器(SDD)と比較して10倍以上のエネルギー分解能が実証されており、これまで知られていなかった現象の解明に貢献して
いる。STJは1 keV以下のエネルギー領域で特に優位性があることが述べられた。また、補足として最近制定されたジョセフソン接合や超伝導/常伝導接続の
表記法が大久保から紹介された。
マグネット解析 2P-p01-06 座長 岩井 貞憲
本セッションでは、REBCOコイル関連で2件とMgB2線材を用いたコイル関連で2件、および磁性粒子を浮上させる傾斜磁場コイルで1件の発表があった。
「2P-p01:王韜(早大)」無絶縁パンケーキコイルを複数積層したコイルシステムについて、励磁時の挙動に関する解析結果が報告された。パンケーキ内は
1つのインダクタンス、コイル内抵抗、およびターン間抵抗で簡略化しているが、積層したパンケーキ間の相互インダクタンスが考慮されている。励磁時の
誘導電圧により積層の上下端のパンケーキ内で電流がループするが、ターン間抵抗を高く設定することで抑制される傾向が示された。
「2P-p03:沖(九大)」Y系超伝導転移並列導体をレイヤー巻線したコイルの付加的交流損失に関し、コイル軸方向に外部磁場を印加した際の付加的交流
損失について解析結果が報告された。線材のn値とIcをパラメータとして変化させた結果、特にIcに対する感度が高く、設計時にはIcの分布まで考慮する
必要であることが示された。
「2P-p04:槇田(KEK)」MgB2のラザフォードケーブルを用いたモデルコイルの試作結果が示された。Wind & React法とReact & Wind法とでダブルパンケーキ
コイルを各1つ試作し、いずれも液体ヘリウム中4.2 Kで700 A通電時に顕著な特性劣化は無く、安定に通電できた結果が示された。液体水素冷却のSMESへの
適用を目指しており、今後、スケールアップしていく予定とのことである。
「2P-p05:恩地(鉄道総研)」2P-p04で報告されたWind & React法で試作されたダブルパンケーキコイルについて、伝導冷却下(20 K- 30 K)において外部磁場
を印加した状態での通電試験結果が示された。外部磁場は0 Tから最大で5 Tに設定し、最大700 Aまで通電したとのこと。20 K, 3.0 Tの条件で約600 Aのコイル
Icが得られている。
「2P-p06:許(明治大学)」ヘルムホルツコイルと傾斜磁場コイルを用いて磁性粒子を浮上させるコイルシステムに関し、設計、および浮上試験の結果が
報告された。想定していた浮上は観測されず、原因として中心軸から径方向に離れた位置での磁束密度が相対的に強いことが磁場計算の結果から示された。
今後、システム全体の磁束密度分布を考慮した設計を試みるとのことである。
超電導機器(1) 2P-p07-10 座長 川越 明史
超電導機器(1)のセッションでは、4件の発表があった。最初の2件は、航空機用モーター開発に関するものであった。
2P-07:孔(東大)らは、空芯REBCOコイルを界磁巻線に用い、電機子巻線には銅線を用いた半超電導モーターについて、3.6 MW機の最適設計を試みた。
電機子巻線を水冷にするなどして、重量当たりの出力密度を、約16 kW/kgの設計例を示した。
2P-p08:寺尾(東大)らは、出力密度を求める解析式を導出しており、それを用いて、界磁巻線にREBCO線を、電機子巻線にMgB2多芯線を用いた全超電導
モーターについて解析した結果を報告した。出力の10%以内に損失を抑えながら出力密度16 kW/kgを達成するためには、直径0.4 mm程度、フィラメント直径
26 μm程度のMgB2多芯線が必要とのことであった。冷却に関することも含め、活発に議論されていた。
2P-p09:山岸(横浜国大)らは、磁気軸受に用いるバルクの配置について検討した結果を発表した。個体差による磁界分布の非対称性を、バルクの並べ方
のみで低減できることを示した。
2P-p10:山崎(岡山大)らは、浮上させた着磁済みのバルクを床面から壁面に走行させる際の特性について報告した。床面と壁面の間に永久磁石を配置
したスロープを介す方式を提案し、その移動中の特性を報告した。
核融合(1) 2P-p11-13 座長 諏訪 友音
本セッションでは、核融合炉および核融合炉にかかわる装置の設計や解析に関する3件の発表が行われた。
2P-p11 尾花(NIFS)らから、JT-60SA 中心ソレノイド(CS)モデルコイルの流体特性について報告された。コイルの通電時、無通電時における圧力損失を測定し、
通電時の方が圧力損失は小さくなることが示された。本試験結果は、JT-60SA 冷凍系の運転の参考となることが期待される。
2P-p12 今川(NIFS)らは、大口径高磁場導体試験装置用の大電流サンプル形状と電磁力支持の報告を行った。大電流サンプルには、電流リードの非対称性に起因
する並進方向の電磁力が発生し、サンプルは容器に接触する。容器に加わる荷重を定量的に評価したところ、44 kN以下の荷重ならサンプル容器とコイルは接触
しないことが示された。
2P-p13 田村(NIFS)らは、ヘリカル型核融合炉FFHRの概念設計に関する報告を行った。コスト削減と早期の核融合発電実証を目指し、装置の小型化と高磁場化を
検討しているが、磁場増加による電磁力増加が懸念されるため、構造物の応力解析を行った。構造物の基本板厚を200 mmとし、応力が高い部分の補強を行うこと
で、最大応力は960 MPaとなり、許容できるレベルであることが確認された。
Y系バルク・MgB2バルク(1) 2P-p14-15 座長 内藤 智之
「2P-p14:石原(鉄道総研)」石原(鉄道総研)らは、アンジュレータへの応用を想定した半円形状のMgB2バルクの捕捉磁場特性について報告した。
捕捉磁場特性からアンジュレータへの優れた適性が明らかとなった。
「2P-p02:赤坂(鉄道総研)」赤坂(鉄道総研)らは、磁気光学法による種々の形状をもつ超伝導バルクの捕捉磁場分布について報告した。各バルク形状を反映
した捕捉磁場分布が観測できたことから、この方法がバルクの捕捉磁場分布の評価に有用であることが示された。
MgB2(1) 2P-p16 座長 山本 明保
MgB2(1)では1件の発表があった。
2P-p16: 前田(NIMS) スエージング加工により作製したMgB2線材の輸送臨界電流特性に与えるリンゴ酸添加の影響を系統的に検討した。リンゴ酸を2.5 mol%
添加した線材では、4.2 K、10 T下における臨界電流密度が無添加線材と比較して約3倍に向上し、リンゴ酸が添加剤として有効であることを指摘した。
また、リンゴ酸を5 mol%添加した線材では、熱処理時間を長くすることで臨界電流密度がさらに向上する傾向があることを報告した。
磁気冷凍 2P-p17-19 座長 宮崎 佳樹
2P-p17 山下 知大(東芝)ほか:医療機器へのRoHS規制を受け、冷凍機の蓄冷材についても鉛代替が求められている。本研究ではAg2Oについて着目し、
鉛代替蓄冷材として検討している。放電プラズマ焼結によりAg2Oバルク体を作製し、湿式プロセスにて球状化を行った。2~100 Kにおいて作製したAg2O
の比熱は、鉛代替の候補とされるBiよりも大きな比熱を示し、鉛に匹敵する特性が得られており、置き換えは十分可能とのことであった。作製量はまだ
ラボレベルとのことであったが、量産、代替を目指した研究開発が進むことを期待したい。
2P-p18 谷口 朋宏(東工大)ほか:室温磁気冷凍機の氷点下での利用のため、従来使用されていたGd合金よりも大きな磁気エントロピー変化量を持つLa
合金を用いた磁気冷凍サイクルの数値解析を行った。用いた磁性材料は異なるキュリー温度を有するLaFeCoSi(5種類)で、それぞれの物性を取り込んだ数値
計算を行っている。材料積層については、キュリー温度の低い材料の割合が多いほど低温端温度が低下し、キュリー温度の高い材料の割合が多いほど冷凍
能力が向上している。LaFeCoSiの磁気エントロピー変化は高温になるほど低下傾向となるため、それを反映した積層比率を検討したが、結果は等量積層と
大差がなく、磁気エントロピーなどの特性に28%程度の差異があっても冷凍能力や低温端温度に大きな影響はないとのことだった。能力的には1次相転移材料
のほうがよいとのことで、今後はMn系材料とのハイブリッドを検討するとのことだった。
2P-p19 森岡 直矢(愛媛大)ほか:Gdイオンは起動角運動量が0であり、結晶場による静電ポテンシャルの影響を受けないため、理論上磁気相転移温度付近
で大きな比熱のピークを示すことが予測されている。先行研究において低温に相転移温度を持つGdGeのGdサイトにErを置換することで、磁気相転移温度を
低下させ、特性を評価した。比熱測定の結果、磁気相転移に伴うピークを示す温度は低下したが、ピークがブロードとなりHoCu2などの磁性蓄冷材よりも
小さな比熱となった。別系材料との組み合わせを検討しているとのことで、今後の評価に期待したい。
計測・基礎 2P-p20-21 座長 武田 実
本セッションでは、2件の発表があった。
2P-p20:岡村(KEK)は、高エネルギー物理学実験設備において極低温冷媒ガスが大気中へ放出される事故を想定して、その流動挙動や酸素濃度変動の
数値シミュレーションを行った。研究対象の極低温冷媒ガスは窒素、ヘリウム、水素、アルゴン、キセノンである。ILC用加速器トンネル内を想定すると、
破裂板から同時多発的にヘリウムガスが放出された場合、放出直後の圧力変動に伴うピストン効果等により、トンネル下部長手方向の移流・拡散が見られた。
2P-p21:清水(KEK)らは、4 K以下の極低温領域で使用できる、光ファイバーブラッググレーティング(FBG)センサーの開発を行っている。この温度
センサーでは、温度変化に伴うBG間隔の変化を利用して、反射光の波長変化を測定することにより温度が決まる。20 K以下ではBG間隔の変化がなくなる
ので、波長変化の感度を維持するために金属(バイメタル)冶具の利用を検討した。温度測定領域はバイメタルの大きさに依存するため、ポイント測定
は難しいが、開発の目途が立った。
HTSコイル 3A-a01-05 座長 田中 秀樹
3A-a01 加藤(東北大)らは、Yoroi構造に関して、電極付近の補強構造へのボルト追加が、コイルのフープ応力のみならず熱収縮による応力にも影響を
与えることを解析で示した。質疑ではボルト本数に関する質問があった。
3A-a02 曽我部(京大)らは、積層REBCOパンケーキコイルの交流損失に関して、積層数や端部に高Ic線を用いた場合の影響を報告した。会場では高Ic線の
採用に伴うAC Loss減少の解釈について議論された。
3A-a03 今井(東北大)らは、スクライブされたGdBCOテープ2枚重ね巻きで作製したコイルに関して、その通電結果から遮蔽磁場の特徴などを示した。会場
では、報告された現象がバンドルした2枚間に鎖交する磁束に起因しているか、の議論があった。
3A-a04 水野(上智大)らは、MgB2撚り線導体を用いたパンケーキコイルの試作・評価結果を示した。会場コメントとして、素線のIcや焼成前曲げ歪み耐性
の確認が不十分ではないかとの指摘があった。
3A-a05 川越(鹿児島大)らは、エネルギーフロー観測によるHTSコイルの異常診断に関して報告した。何ワット程度の異常を検知可能かとの質問に対し、
温度上昇前での検知をめざしている、との回答であった。
安定性・保護 3A-a06-10 座長 柳澤 吉紀
3A-a06 市川(早大)らは、積層したNI REBCOパンケーキコイルの熱的安定性を、ヒーター加熱に対するコイル電圧の応答によって実験的に調べた。パン
ケーキ同士の間隔に関する指摘と議論があった。
3A-a07 王(早大)らは、メーター級のNIコイルについて、数値解析による評価を行った。
3A-a08 柿本(早大)らは、局所的な特性劣化部位を持つNI REBCOパンケーキコイルの熱暴走特性について、先行実行報告に対応した数値解析モデルにより
検証した。NI方式とすることで、絶縁方式よりも大幅に高い電流値で熱暴走が起きることが示された。
3A-a09 井出(東北大)らは、絶縁REBCOコイルにおいて、局所的なIc低下がクエンチ特性、特にクエンチが起きる発熱量を実験により調べた。劣化付与方式
に関する質疑があった。
3A-a10 小島(上智大)らは、HTSコイルにおける熱暴走発生条件について、線材の最小伝搬領域に着目した数値解析検討を示した。発生電圧によって、熱暴走
発生と保護性を判断する考え方が示された。これは実用上重要な視点である。
送電ケーブル(2) 3B-a01-07 座長 津田 理
3B-a01では、「1000 m級超伝導直流ケーブルシステムの熱負荷と電力消費」のタイトルで、石狩の1000 m 級超伝導直流ケーブルシステムの長期循環試験
及び1 kA通電サイクル試験時の低温への熱負荷と、冷却に要する冷却循環系の消費電力の測定結果が報告された。熱負荷は2.2 kW程度、冷凍機・チラー・
ポンプ等での消費電力は117 kW程度とのことであった。
3B-a02では、「超電導ケーブルシステムの長距離化にむけた液体窒素循環ポンプ直列運転試験」のタイトルで、2台のポンプを直列運転した時の、安定
循環を得るためのポンブの運転条件に関する検討結果が報告された。2台のポンプの回転数を揃えるとトリップしたため、違う回転数にしたところ、約
1ヶ月間安定循環できたとのことであった。ただし、違う回転数にすると安定する理由については、現在検討中とのことであった。
3B-a03では、「石狩超電導直流ケーブルの断熱性能解析-1」のタイトルで、石狩回線2の熱侵入量について、平行平板および同軸構造の輻射熱輸送解析
モデルを用いて解析した結果が報告された。解析では、MLI数が増加するにつれて熱侵入量が減少し、10枚の場合で0.1 W/mとなったが、実験では、21枚
で1 W/m程度であった。この違いの原因としては、MLI間の接触熱伝達が考えられる、とのことであった。
3B-a04は取り消しとなった。
3B-a05では、「275 kV系実規模級HTSケーブルの短絡事故時における冷媒の挙動解析」のタイトルで、実規模(数km)級のHTSケーブルを対象とした、短絡
事故発生後のケーブル内部の温度分布推移について解析した結果が報告された。ケーブル長が20 m時と3 km時とでは、外側流路と内側流路の冷媒温度
の大小関係が逆転したため、ケーブル出口温度が同程度になる様に設計することが望ましいとのことであった。
3B-a06では、「66 kV級40 m高温超電導ケーブルにおける短絡事故解析」のタイトルで、40 mモデルケーブルにおける16 kA-8.4 sの短絡試験を模擬した
解析の結果が報告された。冷媒温度については、実験結果と同様の傾向が得られているものの、冷媒圧力については、実験では2000 s後には落ち着いて
いるのに対して、解析では、なかなか収束していないことから、更なる解析モデルの改善が必要とのことであった。
3B-a07では、「内層の電磁条件の違いによる二層高温超伝導ケーブルの交流損失特性」のタイトルで、内層が同じで、外層の撚りピッチと撚り方向が
異なるBi2223線を用いた3種類の二層超電導ケーブルを熱的測定法で測定した結果が報告された。テープ線に平行な磁界であっても、テープ線が経験
する磁界の方向とテープ線の長手方向との角度により、交流損失量が大きく異なるとのことであった。
磁気軸受 3B-a08-12 座長 仲村 高志
セッションの順番を入れ替え、大荷重対応高温超電導磁気軸受の開発という通しの番号の発表の後、その実機モデルである米倉山での状況報告、最後に
宇宙人工衛星での観測における磁気軸受の開発についての講演があった。
まず3B-a09では中尾(古河電工)から米倉山での実証機から改良され、軽量化された高温超電導磁気軸受(SMB)用の超電導コイルの設計と実装について
の報告があり、3B-a10では水野(鉄道総研)から、前セッションで報告のあった改良されたSMB用超電導コイルを実装した新型SMBの浮上力検証試験に
ついての報告があった。3B-a11は宮崎(鉄道総研)からフライホイールを浮上させる大型の超電導バルクの磁気浮上力と、それを真空層内で断熱的に
支える支持材の荷重耐久力並びに熱侵入に対する評価、及び商用化時の経年劣化の評価が言及された。3B-a08は実証機として評価している米倉山に設置
されているフライホイール蓄電装置について澤村(ミラプロ)から報告があった。フライホイールの回転安定性を上げるために鋼製フライホイールを
実装し、評価が良好であったことから、より大型のフライホイールの商用化について検討がなされた。全体を通して、次世代フライホイールへの展望が
示された。セッション最後3B-a12は、松村(カブリIPMU)から宇宙空間という過酷な環境で宇宙マイクロ波背景放射偏光計測のために必要な偏光変調器
に用いるための高安定性の回転(1 Hz)を、超電導バルクを用いた超電導磁気軸受を用い、微弱な宇宙マイクロ波背景放射偏光観測に運用可能な10 K以下
の温度で実現できるかについての検討が報告された。
Y系バルク・MgB2バルク(2) 3C-a01-06 座長 石原 篤
本セッションでは、Y系バルク、MgB2バルクの高特性化に関する発表がそれぞれ2件、Y系バルクの応用機器に関する発表が2件あった。
「3C-a01:仲村(理研)」らは、EuBCOバルク磁石を用い、内側に銅ボビンに巻いたGd123線材を配置することで、磁場均一性が改善し、202 MHzのNMR測定
に成功したことを報告した。
「3C-a02:森田(新日鐵住金)」らは、バルク磁石のクエンチ現象について、着磁時だけでなく、着磁後の昇温過程でフル着磁でない状態からフル着磁状態
に移行するタイミングでも観測されたことを報告し、試料中を移動する磁束量が急激に変化したためと考察していた。
「3C-a03:松丸(青学大)」らは、Ba仕込組成を過剰側から欠損側まで系統的に変化させてGdBCOバルクを育成し、Ba欠損組成の方が結晶成長速度が速いこと、
Gd/Ba固溶量が増大することを報告した。
「3C-a04:高橋(岩手大)」らは、Y211とDy211を様々な割合で混合したYBCOバルクを作製したところ、Dy211を混合すると種結晶直下の超電導特性が劣化した
ことを報告した。先行研究とは異なる結果であり、今後更なる精密な研究を期待したい。
「3C-a05:内藤(岩手大)」らは、浸透法による非晶質ボロンを用いたMgB2バルクを作製し、結晶性ボロンと比較して、小片試料のJcは改善したが、捕捉
磁場が10%程度低下したことを報告した。
「3C-a06:佐野川(農工大)」らは、気相輸送法によるMgB2バルクを作製し、拡散孔から同心円状にマグネシウムが拡散し、数種類のクラックが確認された
ことを報告した。
MgB2(2) 3C-a07-12 座長 木内 勝
「3C-a07: 澤田(青学大)」 1000℃以上で合成可能なMgB2C2を、100℃低い900℃での合成に成功した。そのMgB2C2を用いて3%CドープしたMgB2バルクを作製し、組織
観察とJc特性を報告した。MgB2バルクへのCドープ量は少ないが20 K、4 T近傍で優れたJcが得られることを示した。
「3C-a08: 高木(青学大)」 BとMgB2にMgを拡散させるPremix-PICT拡散法を用いて高密度MgB2を作製し、組織観察及びJc-B特性を報告した。特に混合粉末中のMgB2:B
の比を1:3にすることにより、充填率が96.8%まで向上し、高いJcを再現よく作製できることを示した。
「3C-a09: 熊倉(物財機構)」 in-situ PIT 法作製によるMgB2線材のコア充填率向上のために、線材加工にスウェージングを追加し1 mmの単芯及び7芯の線材を作製し、
4.2 K、10 Tで Jc = 3.52×104 A/cm2を報告した。この高Jcと高いビッカース硬さは、組織観察により確認できる軸方向に細長いフィラメント形状のMgB2結晶によるものである
と説明した。
「3C-a10: 坊地(九大)」 磁性シースを用いたin-situ PIT法で作製された10芯のMgB2線材の局所Ic分布を、走査型ホール素子顕微鏡システムを用いて評価した。
得られたIcは、四端子法Icとよい整合性を示し、本評価手法の有効性を報告した。
「3C-a11: 田中(日立)」 MgB2線材に室温で加えたひずみがIc及びn値へどのように影響を与えるかを、In-situ PIT法で作製された線材の引張及び曲げ特性から
調べた。引張ひずみが0.18%近傍でIcが劣化しはじめ、曲げは0.2%でIc及びn値の劣化が顕著になることから、室温の機械的負荷耐性は0.18~0.19%と報告した。
「3C-a12: 上林(上智大)」 MgB2線材に熱処理前に加えた曲げひずみのIcへの影響を調べた。線材はHyper Tech社製線材で、公表された許容曲げひずみ4%を超える5%
まで歪ませた線材を準備し、29 KでのIc特性を評価した。Icはひずみの増加とともに緩やかに劣化し、5%を超えるとひずみゼロのIcの半分まで低下することを示した。
Bi系線材 3C-p01-05 座長 松本 明善
Bi系線材のセッションでは5件の発表があった。
「3C-p01:小池(青学大)」からはBi2223線材に対する加圧1次焼成の効果について発表があった。通常DIBSCCO線材は1次焼成において通常大気圧で行われるが、
より緻密化および圧延加工の簡略化を目指して1次焼成においても加圧焼成を行うプロセスを提案した。1次焼成において加圧を行うことによって大気圧焼成
に比べて不純物の生成を抑制する効果があることを示した。
「3C-p02:山出(住友電工)」からは高強度DI-BSCCO線材の開発状況について報告があった。高磁場等で使用が可能なTypeHT-NXの強度、疲労特性およびスプライス
方法による接合特性についての報告があった。
「3C-p03:長村(応科研)」からはBSCCO線材の開発と言うことで、住友電工のNXやYY系テープにおける引張応力下での臨界電流密度特性の評価を行ったこと
を報告した。
「3C-p04:呂(九大)」はTypeHT-NXの局所臨界電流分布をRTR-SHPMにより長さ130 mに渡り評価した結果が示された。ラミネートしたままの線材の評価が行える
ことを示し、線材全長で高均質性を持った線材評価に同手法が有効であることを示した。
「3C-p05:武田(東大)」はPb置換量を変化させたBi2212前駆体からBi2223厚膜を作製し、置換量と超伝導特性との比較を行った。これまで高濃度置換された
Bi2223線材はなく、新たな試みとして今後の発展に期待したい。
冷却システム(1) 3D-a01-06 座長 岡村 崇弘
当セッションでは6件の報告があった。
3D-a01 (濱口ら、NIFS、大陽日酸)は大型冷凍機LR280を用いた温度可変低温設備の建設状況として基本性能評価試験結果についての報告がなされた。
この大型の冷却装置はmixingライン適切に調整することで種々の温度域のヘリウムフローが作り出せる汎用性の高い装置であることが示されており、
本装置をもちいた種々の基礎実験が実施されることを期待できるものであった。
3D-a02(岩本ら、NIFS、大陽日酸)は前講で紹介された温度可変低温設備において、超臨界ヘリウムの流量を測定するための4分円オリフィス流量計に
ついて、オンサイトで構成する手法ならびにその結果についての報告がなされた。流出係数Cについて、ヒーターを用いて流体のエンタルピー差から
実験的に求め、あるRe数〜1.4E5まではほぼ一定値となったが。それ以上の流速では係数が増大したのち減少するという現象まで明らかにしている。
3D-a03(中川ら、産総研)は無冷媒希釈冷凍機システムの開発状況についての報告がなされた。mKオーダーを得るために必要な熱交換器の開発状況に
ついて報告がなされた。Kapitza抵抗による熱伝達の悪化を緩和するためにも焼結金属を用いて表面積を稼ぐ必要があるが、これまでのものは実効的
表面積が560 m2程度あるものの、その2割程度しか有効的に使われていないなどの問題を改善するべく焼結厚さの最適化、表面積の測定法としてBETを
用いた方法に代わってレーザーフラッシュ法とよばれる方法で熱拡散係数から測定する方法などについて紹介された。
3D-a04(金尾ら、住重、JAXA、NEC)は、実際にしきさい(GCOM-C:ジーコムシー)搭載した多波長放射向け冷却系システムについての報告がなされた。
55 K±0.1Kにディテクタを冷却するためにスターリング冷凍機を搭載し、熱解析から設計、熱負荷測定、振動測定などミッションをクリアするための
すべてのプロセス、試験が行われシステム健全性が示されたものであった。熱負荷は打上げ時の12 gにも耐えうる構造にすることに起因しGFRPのサポート
からの侵入熱がドミナントであることも含めた報告がなされた。実際の打ち上げは来月12月下旬のようである。
3D-a05(Ashish Kumarら、総研大、KEK)は超流動設備で使用される2。2K熱交換器の開発状況について報告された。この熱交換器は超流動からの戻りガス
と供給されるHEがコイル状のパイプにフィンがスパイラル状に設置されたものである。発表では数値シミュレーションと実験結果を融合させることで、
制作された熱交換器の性能評価(NTUなどの評価)について報告がされた。
3D-a06(山田ら、東大、KEK、NIFS、Academia Sinica)はKAGRAの冷却設備について、特に極低温鏡冷却のための超高純度アルミニウムヒートリンクに
ついての発表があった。報告では5Nから6Nに変更することでRRRも3090から3570となり、熱伝導率も実測したところ、従来の理論・測定結果とコンシステント
な振る舞いがあることを確認すると共に、細線故のサイズ効果が現れていることも確認している。同様にバネ定数を測定し、単線から撚線にすることで
同定数は1/43程度に抑えられていることを確認している。
冷却システム(2) 3D-a07-11 座長 三戸 利行
本セッションでは、様々な超電導機器に必要不可欠であり、水素社会の実現に向けても注目されている冷却システムに関連して、合計5件の研究成果の
発表がなされた。最初に「3D-a07:恒松(住重)」が、高温超伝導自己シールド型脳磁計用冷却システムの開発成果について、SNS素子型SQUIDセンサを
冷却するクライオスタットの液体ヘリウム蒸発量を0に抑えると共に、脳磁計に必要とされるノイズレベルの低減が高温超伝導磁気シールドの採用によって
コンパクトに達成できたことが報告された。次に「3D-a08:中納(産総研)」が、今後ますます重要になると考えられる液体水素の応用研究を行うための
液体水素クライオスタットの開発成果について、耐圧性能は予定どおりに達成できたが圧力制御に改善が必要なことが報告された。続いて「3D-a09:片山
(東工大)」が、極低温サーモサイフォンにおける限界熱流束について、実験結果と解析結果を比較検討し、内径や管長の変化を考慮した解析で定性的な
一致が得られたことが報告された。次に「3D-a10:針生(東北大)」が、核融合炉の大型超伝導マグネットの先進設計案として分割型コイル構造が提案されて
おり、接続部の冷却特性を向上するために金属多孔質体を用いた場合の伝熱特性について、サブクール度との相関結果等について報告した。最後に「3D-a11:
下田(前川製作所)」が、NEDO「高温超電導実用化促進技術開発」として実施されている高効率、大容量のブレイトン冷凍機の開発研究として、旭変電所の
実系統に連携した240 m級超電導ケーブルの実証試験が2017年3月から行われており、2018年3月までの予定で安定した連続運転が継続されていることが報告
された。
超電導機器(2) 3D-p01-05 座長 小川 純
3D-p01:中村(京都大)らは、極低温液体移送ポンプ用途への適用を目指した5kW級超電導誘導同期モータの研究開発状況について報告した。ステータ外径
と積厚を制約条件とし室温と液体窒素温度において最適化設計を実施した。数値解析の結果、5000 rpmと高速で回転することから室温での効率76.1%である
のに対し、超電導モータの場合には効率93.5%となることが示された。
3D-p02:中村(京都大)らは、輸送機器への適用を目指した50 kW級全超電導誘導同期モータの研究開発状況について報告した。基本的な設計方針が示され、
固定子側の巻き線には所謂リング巻を採用することが報告された。実際に1800 rpmまでの全超電導負荷試験を実施し、試験に成功したことが報告された。
3D-p03:三浦(足利工大)らは、超電導バルクのピン止め効果を用いたホバーボードの走行試験について報告した。オープンキャンパスなどのイベントで
超電導の特性を体験してもらうことが目的の装置であり、十分な浮上力を確保できることに成功していた。安全性に関する質問があった。
3D-p04:香月(足利工大)らは、反復パルス着磁法における磁界の捕捉特性について報告した。様々な磁界の大きさの組み合わせで2回パルス着磁を行い、
その実験結果についての報告がなされた。
3D-p05:横山(足利工大)らは、冷凍機の違いによるバルクのパルス着磁特性についての報告をした。冷凍能力の高いほうがバルクの着磁特性が向上する
結果となり、パルス着磁に伴う温度上昇を素早く冷却することが着磁特性の向上につながることが示された。